精神障害者の働く事の意義
   
1.

生活リズムの確立によって体力の増強につながり、そのことによって収入を得ていくなかで、自分の役割や意義を認め満足感と共に仲間との連帯も生まれてくる等、心理的、社会的に大きな相乗作用が生じてくる。

   
2.

就労することによって社会性を学び、自信や自尊心が再び育ってきており、社会生活を通じて身辺自立へと向っている事例が多く出てきた。

   
3.

当事者の就労については、障害者の軽い方重い方も全員仕事に就けないのではなく、可能な限り工夫と支援を継続していければ展望が開けてくるのではないか。一番恐いのは、専門家側が当事者の就労の失敗や経験の少なさから、無力感に陥ったときではないか。

   
4.

仕事に対する能力は、就労についてから身につくもので、事前の施設内の訓練では可能性が図れない一面がある。また、支援する側の職業リハビリテーションに関する知識が十分でなく、保護環境的な施設内作業をばかり見つめていると、外の世界がわからなくなるときもある。これらと同意に当事者のメンタルな部分の対応が重要であり、それがなければ事業主は障害者を雇用することについて、雇う気にならないのではないか。精神障害者の就労対策は職業リハビリテーションだけではなく、総合的な生活支援システムが必要と思われる。

   
5.

職場実習に当たっては決められた時間に通い、事業所の指示に従い、物事をやり遂げ、職場の仲間と適切な人間関係が結べ、いろんな忠告に対して修正することができるかがその人の能力であろうと思います。

   
6.

発病前の就労体験も、発病後ある一定の仕事はできるが、どこかに置き忘れたごとく失われた部分があり、運動能力や対人関係がスムーズにできず日常生活にも影響が出てるケースもありうる。

   
7.

疾病については回復が年単位で相当期間の時間が必要とし、社会生活の慣れるためには慣らし運転に時間をかける必要がある。

   
8.

それらと共に就労実習派遣に出しているが、薬の服薬管理の難しさで規則正しい服薬がなかなか出来ないメンバーがあり、自分が就労に就いているので治ったと思い込み、薬を飲まない人たちも意外にいます。

   
9.

就労支援といっても、その人の能力にあった就労の場を提供することであるが、現状として個々の当事者の職場での能力がどの位力が発揮されているかについてはまだまだ時間を要する。

支援センターでは基本的には短時間2〜3時間、週2〜3日を中心としてグループ編成での作業に従事しています。

実習現場には、最初1ヵ月位はジョブコーチとして職員が同行しながら職場体験実習を行い、共に学ぶという方法を取りました。ジョブコーチとして各事業所に派遣することについては、支援センター会議及び生活支援センター等で何度も協議を重ねてきました。今後、当事者が施設内訓練から一般就労に向けた展開が多く予想される今の状況の中で、やおき福祉会としても各施設の職員が職場実習へ直接参加しなければ現場の状況がわからないのではないかということで、施設長も含めほとんどの職員は体験してきました。

そのなかで職員間の意志統一を図り、メンバーの状況等をつぶさに観察しながらの手探りの職場実習であり、当事者にとって職員が同行し、同じ職場で同じ仕事をするということの安心感があり、すぐに職場に慣れてくるという大きなメリットがありました。

職員にとっても事業所とメンバーの間に入り、仕事の流れを的確に把握しながら当事者の作業を見守っていかなければならず、大変忙しい事です。けれど、施設内訓練ではわからない部分が見えてくるという大きな収穫があったのではなかろうかと思っています。施設に滞留させることなく地域に眼を向けた就労が必要であり、今後、このような取り組みを加速させる必要がある。